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皆さんは、背後霊を見たことがありますか? いや、誰しも一度は見てるはず。
見たことが無いと言う方は、気が付いてないだけなのかも…
毎年この季節になると、あちこちで展示会なるものが開催される。
それは、早々とクリスマス商品の展示会だったり。
うちの様な小さな店にも、案内状や招待状がどっさり届く。
そのほとんどが取引先のメーカーさんからの物なのだが。
あれは、店を始めたばかりの頃だっただろうか。 季節もそう、今頃だった。
そんな時、初めて展示会の案内状が届いた。
展示会に行く事自体初めてだったのでどんなものかも分からない。
今でこそ、ジーンズばかりの私だが、たまにはお洒落して出掛けてみようと思い、クローゼットから数少ないワンピースをひっぱり出してみた。
少し悩んだ末、その中から一番お気に入りの紺(青)地に花柄のワンピースを選んだ。
その展示会は、日本全国はもとより、アジア各国からの出展も多く出展メーカーは2千社は下らない、大きな大きな展示会だった。
それだけの会社が出展するとなると、客の動員数もそれなりで、開催期間中約20万人もの客が訪れる。 と、後に知った。
体育館並みのだだっ広い建物が何棟も立ち並び、それを次から次へと、足が棒になるまで見て回る。あまりにも会場が広すぎて、冷房もあまり効かない。 ヒールの高い靴で行こうものなら、きっとえらい目にあう。
それこそ、道に~倒れて~誰かの名を~呼び続ける事にもなりかねない(これじゃ中島みゆきかあ)
当然トイレにも、長蛇の列が出来ていた。
そう、このお話はそのトイレでの出来事なのだが…
長時間並んだ末、トイレから出た私は手を洗っていた。
手を洗うのにも、順番待ちが出来ている。
手を洗いながら、鏡を見ようと顔を上げたその瞬間、もう一人の自分が鏡の中に現れたのだ。
私の身体は、驚きのあまり凍りついた。
えっ?もしかして目の錯覚? いや、間違いなくもう一人の自分がそこにいる。
背後霊のように、その姿は私の後ろに立っている
霊感の全く無い私に、初めて起きた出来事なのだ。
「そうかあ、これが背後霊なのかあ。えっ?ちょっと待てよ。背後霊が自分と同じ姿で現れる訳ないか?これは幽体離脱か?落ち着いて落ち着いて」私は自分自身に言い聞かせた。
私は、ゆっくりとスローモーションのように後ろを振り返った。
するとどうしたことだろう。 私は、もう一人の自分と正面から向き合う形になったのだ。
次の瞬間「あっ」と小さな声を発していた。
瓜二つのワンピースを着たその姿は、どう見ても、私より背が高くスタイルもいい
そして、私のお気に入りのワンピースがとても似合っているのだ
お互い?ばつが悪そうに、苦笑いした。周りの視線を妙に感じながら、うつむき加減でその場を立ち去ったのは言うまでもない。
数年前に、その展示会場は別の場所へと変わった。広さは東京ドーム7個分だとか。
トイレの数も倍以上に増え、待つことも無くなった。
今年も(あさって)その展示会へと、一時間以上かけて私は足を運ぶ。
お気に入りだったそのワンピースは、袖をとおすこと無く今でもクローゼットの中で眠っている。
皆さん、鏡を見る時には十分お気をつけくださいまし。
あなたの背後にも、ほら、同じ服のあなたが、もう一人映っているかもしれませんよ